投稿者: concretediag

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(10)

    • (46)下の写真に示す鋼鉄道橋上路プレートガーダーの主桁上フランジに発生した腐食に関する a)~c) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) 上フランジのマクラギ下面に滞水が生じやすいことで発生し、 マクラギの移動により露出した腐食である。

    b) リベット頭部が腐食した場合は、 ゆるみが生じていなくても継手強度が大きく低下しているため早急に高力ボルトに交換する必要がある。

    c) 上フランジの板厚が減少していても現有応力比率が 100%以上であれば、補修塗装により腐食を進行させないようにするのも一つの方法である。

    1) なし

    2) 1 つ

    3) 2 つ

    4) 3 つ

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    正解:3)

    a)、c)は正しい。

    b)リベットは支圧接合であることから,ゆるまない限り継手強度の低下はあまりないので、安易に高力ボルト等に替えないほうがよい。従って,リベットがゆるんでいない場合は、補修塗装など、これ以上腐食が進まないような対策を取るのが望ましい。

    • (47)港湾鋼構造物に適用される防食工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 流電陽極方式電気防食工法は、水中に設置した陽極と鋼材の異種金属電池作用により、鋼管杭へ防食電流を流入させ、腐食を防止する工法である。

    2) モルタル被覆は、現地施工が可能である。

    3) ベトロラタム被覆は、工場で施工されるため、安定した品質が得られる。

    4) 水中硬化型被覆は、鋼矢板の継手部のような複雑な形状の構造物にも比較的容易に施工が可能である。

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    正解:3)

    1) 流電陽極方式電気防食工法は,水中に設置した陽極と鋼材の異種金属電池作用により,鋼管杭へ防食電流を流入させ,腐食を防止する工法である。

    • これは「犠牲陽極方式(流電陽極方式)」の基本原理の説明で正しいです。
      → 適当

    2) モルタル被覆は,現地施工が可能である。

    • モルタル被覆は港湾構造物の鋼材に現地で施工することが一般的です。
      → 適当

    3) ぺトロラタム被覆は,工場で施工されるため,安定した品質が得られる。

    • ぺトロラタムは現地にて、ペトロラタム系防食材を鋼表面に密着させ,これをプラスチックや強化プラスチック、耐食性金属などのカバーで保護する。ペトロラタム系防食材とカバーの間に、緩衝材を挿入する場合もある。さらに防食材、緩衝材、保護カバーを一体化した方法もある。この工法は、水中施工が可能であること、素地調整が比較的簡単でかつ施工後の養生期間も必要としないなどの特長がある。
      → 不適当

    4) 水中硬化型被覆は,鋼矢板の継手部のような複雑な形状の構造物にも比較的容易に施工が可能である。

    • 水中硬化型被覆は現場で水中に直接塗布するもので、継手部や複雑形状では施工可能である。
      → 適当
    • (48)港湾構造物の構造上の特徴に関する記述中の空欄(ア) ~ (エ)に当てはまる語句の組合せとして、適当なものはどれか。

    桟橋の場合、(ア)に作用する曲げモーメントが最大となる箇所は(イ)である。矢板式係船岸の場合、鋼矢板に作用する(ウ)に起因した曲げモーメントが最大となる箇所は一般に(エ)付近である。そのため、これらの箇所を重点的に点検診断する必要がある。

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    正解:4)

    • (49)1MPa の内圧pが作用する内径 D=2,100mm、降伏応力σy =243MPa の水圧鉄管において、内圧によって生じる管の円周方向応力σh を管の許容応力以内とするために最低限必要な板厚tはどれか。ただし、安全率は 1.8 とする。

    1) 約 6.9mm

    2) 約 7.8mm

    3) 約 8.7mm

    4) 約 9.6mm

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    正解:2)

    • (50)ダムゲートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1) ダムゲートでは、水圧荷重は最終的には戸当たりを介してダム本体へ伝達される。

    2) 淡水環境で使用されるため腐食速度は緩やかで概ね 0.3mm/年程度である。

    3) 主要部材における最小板厚は、鋼板・形鋼ともに 6mm が規定されている。

    4) 耐震設計では、設計洪水位の水位に基づいた地震時動水圧荷重、地震時慣性力を用いる。

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    正解:1)

    1) ダムゲートでは,水圧荷重は最終的には戸当たりを介してダム本体へ伝達される。

    • ダムゲート(ローラーゲート、鋼製引き戸ゲートなど)では、水圧はゲート本体→戸当たり→ダム本体に伝達されます。
      → 適当

    2) 淡水環境で使用されるため腐食速度は緩やかで概ね 0.3mm/年程度である。

    • 一般的に淡水では腐食速度は 0.1〜0.2 mm/年程度が目安で、0.3 mm/年はやや大きめ。必ずしも正確ではない。
      → 不適当

    3) 主要部材における最小板厚は,鋼板・形鋼ともに 6mm が規定されている。

    • 実務上、ダムゲートの最低板厚は部材の種類や荷重条件に応じて規定され、6 mmが統一的に適用されるわけではない。
      → 不適当

    4) 耐震設計では,設計洪水位の水位に基づいた地震時動水圧荷重,地震時慣性力を用いる。

    • 耐震設計では、設計震度に基づく地震時動水圧荷重、地震時慣性力を用いるが地震と洪水が同時に起きる確率が低いと思われるため、設計洪水位でなく通常時の水位に基づく計算を行う。
      → 不適当
  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(9)

    • (41)鋼道路橋の上下部接続部および付属物の損傷に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 支承の機能が低下する主な原因は、床版や橋台パラペットから剥落したコンクリート片による支承の詰まりである。

    2) 鋼製高欄の損傷には、車両の衝突による変形や破損、腐食がある。

    3) 照明柱や標識柱基部の損傷には、 車両走行や風などによる振動に起因する疲労き裂がある。

    4) 伸縮装置の疲労損傷の主な原因は,輪荷重による繰返し荷重である。

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    正解:1)

    理由:支承(ベアリング)の機能低下は確かにゴミや剥落したコンクリート片による詰まりで起こることがあるが,主な原因は腐食・摩耗・潤滑不良や支持面の変形・固着などの材料・機構的劣化である。設問のように「主な原因が剥落片の詰まりである」と断定するのは誤り。

    他の選択肢は妥当:

    • 2 は車両衝突や腐食で鋼製高欄は損傷する(○)。
    • 3 は風・車両振動などによる繰返し応力で基部に疲労き裂が生じうる(○)。
    • 4 は伸縮装置が繰返しの輪荷重や通行荷重で疲労・損傷を受けやすい、という記述は妥当(○)。
    • (42)鋼道路橋の疲労き裂に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 主桁下フランジの突合せ溶接部にき裂が発生した場合、落橋の恐れがあるが、発生例は少ない。

    2) 鋼床版の疲労き裂は、縦リブが開断面の場合より閉断面の場合のほうが発生例は少ない。

    3) ソールプレート溶接部の疲労き裂は、支承機能の低下に起因して発生する例がある。

    4) 補修や補強を行った箇所では、 補強部材の影響によって近接部位に新たにき裂が発生する場合がある。

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    正解:2)

    鋼床版の疲労き裂は、縦リブが開断面の場合より閉断面の場合のほうが発生例は多い

    • (43)コンクリート道路橋の点検時の着目箇所に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 桁支間中央部:桁下縁側にひび割れがみられることがある。

    2) 桁中間支点部:応力は小さくひび割れなどの損傷を生じにくい。

    3) 打継部:ひび割れが生じるなど、連続性や一体性が損なわれていることがある。

    4) ゲルバ一部:主桁断面が急激に変化するため、応力集中によりひび割れが生じやすい。

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    正解:2)

    1. 桁支間中央部
    • 桁の支間中央は単純梁の場合、曲げ応力が最大になる場所です。桁下縁は引張応力を受けるため、ひび割れが発生しやすい。
      → 適当
    1. 桁中間支点部
    • 桁中間支点部は、負の曲げモーメントが最大となるため、主桁上フランジや主版の鉛直方向にひび割れが発生しやすい。
      → 不適当
    1. 打継部
    • 打継部はコンクリートを分けて施工した部分で、施工の不連続や収縮などによりひび割れが入りやすい。
      → 適当
    1. ゲルバ一部
    • ゲルバ桁(Gerber girder)は、支点で一部断面が切り欠かれており、断面変化で応力が集中することがある。応力集中によるひび割れが生じやすいのは正しい。
      → 適当
    • (44)コンクリート道路橋に生じる損傷に関する a)~d) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) 舗装の補修が繰返し行われている RC 床版では床版上面に士砂化がみられることがある。

    b) PCT 桁橋の間詰め床版部では陥没などの損傷が生じることがある。

    c) コンクリート内部に雨水が浸透するとひび割れから遊離石灰が滲出することがある。

    d) 内部鉄筋の腐食による膨張に伴いコンクリートの浮き、はく離が生じることがある。

    1) 1 つ

    2) 2 つ

    3) 3 つ

    4) 4 つ

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    正解:4)

    a) 舗装の補修が繰返し行われている RC 床版では床版上面に土砂化がみられることがある。

    • RC床版の上面は舗装に覆われていますが、補修の繰り返しや摩耗によりコンクリートの骨材が露出し、表面が砂状になる「士砂化(しさか)」が生じることがあります。
      → 適当

    b) PCT桁橋の間詰め床版部では陥没などの損傷が生じることがある。

    • PCT桁橋(プレテンション桁橋)の間詰め床版は桁と桁の間に充填されるコンクリート部分で、施工不良や収縮・荷重の影響で陥没やひび割れが発生することがあります。
      → 適当

    c) コンクリート内部に雨水が浸透するとひび割れから遊離石灰が滲出することがある。

    • コンクリートのアルカリ分(石灰分)が水に溶けて表面に白い粉として現れる現象を「白華(エフロレッセンス)」と呼びます。ひび割れを通して滲出することもあります。
      → 適当

    d) 内部鉄筋の腐食による膨張に伴いコンクリートの浮き、はく離が生じることがある。

    • 鉄筋が腐食すると体積膨張してコンクリートを押し上げ、浮きやはく離を引き起こします。
      → 適当
    • (45)鉄道橋の維持管理に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1) 維持管理に対する現在の技術基準は旧国鉄系と民鉄系で異なる。

    2) 我が国の鋼鉄道橋の平均経年は 40 年程度である。

    3) 明治時代に製作された鉄道橋の大半は溶接構造である。

    4) 明治時代に製作された鉄道橋の中には現在も供用中のものがある。

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    正解:4)

    1) 維持管理に対する現在の技術基準は旧国鉄系と民鉄系で異なる。

    • 現在は日本の鉄道橋は国土交通省や鉄道事業者の共通基準に基づく維持管理が行われており、旧国鉄系と民鉄系で大きく異なることはありません。
      → 不適当

    2) 我が国の鋼鉄道橋の平均経年は 40 年程度である。

    • 実際には鉄道橋の平均使用年数はもっと長く、特に鋼橋は耐用年数が 50〜70 年程度です。
      → 不適当

    3) 明治時代に製作された鉄道橋の大半は溶接構造である。

    • 明治期の鉄道橋はリベット接合が主流で、溶接構造はほとんどありません。
      → 不適当

    4) 明治時代に製作された鉄道橋の中には現在も供用中のものがある。

    • 実際に明治期製の橋の一部は保存や更新を行いながら現役で使用されています。
      → 適当
  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(8)

    • (36)加熱矯正に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 加熱矯正では、200~400℃に加熱したのちに、ジャッキを用いて矯正するのがよい。

    2) 冷却はできるだけ水をかけずに、自然放冷とするのがよい。

    3) 矯正は変形の大きい箇所から小さいほうに向かって徐々に行うのがよい。

    4) 調質鋼では、加熱矯正時の熱により鋼材の機械的性質が低下する場合がある。

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    正解:1)

    理由

    • 加熱矯正の適正温度は,一般的な構造用鋼で 約600~650℃(赤熱域手前~軽い赤熱)を目安とします。200~400℃では効果が乏しく,所要の塑性収縮が得にくいです。ジャッキ併用自体は行われますが,温度条件が不適切です。
    • 2) 冷却は自然放冷が原則。散水急冷は硬化や割れのリスクがあるため×。
    • 3) 矯正は変形の大きい箇所から小さい箇所へ段階的に行うのが基本で○。
    • 4) 調質鋼(焼入れ焼戻し鋼)は熱で機械的性質が低下(焼戻し軟化等)するおそれがあり,温度管理や適用可否に注意が必要で○。
    • (37)下図に示す片持ち梁について、A 断面における上縁応力として,適当なものはどれか。なお、梁は中実で等断面とする。

    1) この条件だけでは算出できない

    2) 25N/mm2

    3) 50N/mm2

    4) 75N/mm2

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    正解:3)

    • (38)写真に示す橋に関する a)~d) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) 桁下に電化された鉄道があり、昼間の桁下への接近は困難と考えられる。

    b) 脚の下部・ゲルバーヒンジ部に耐震補強が施されている。

    c) 多径間少数主桁橋である。

    d) ラーメン構造部がある。

    1) なし

    2) 1 つ

    3) 2 つ

    4) 3 つ

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    正解:4)

    • a) 架下は電化鉄道(トロリー線が見える)で、日中の接近は鉄道の往来のため、困難 → ○
    • b) 橋脚下部の支承まわりに落橋防止・ストッパ等、またゲルバー部周辺にブレース補強が見える → ○
    • c) 主桁が多数並ぶ多主桁形式であり、「少数主桁」ではない → ×
    • d) 鋼製の門形フレーム(ラーメン)状の橋脚フレームが見える → ○
    • (39)コンクリート構造物の損傷に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 凍害とは、 コンクリート中の水分の凍結融解の繰り返しに伴うコンクリートの破壊現象である。

    2) アルカリシリカ反応とは,、骨材中に含まれる反応性鉱物がアルカリ金属イオンを主成分とする水溶液と反応して吸水膨張し、コンクリートにひび割れを生じさせる現象である。

    3) 中性化とは、水と酸素がコンクリート内部に浸透し水酸化カルシウムと反応して、コンクリートのアルカリ性が低下する現象のことである。

    4) 塩害とは、コンクリート内部の鋼材が塩化物イオンの影響で腐食膨張し、コンクリートのひび割れ、はく離を生じさせる現象である。

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    正解:3)

    中性化は CO₂ がコンクリート中へ浸透し、Ca(OH)₂と反応して CaCO₃ を生成することでアルカリ性が低下する現象。文の「水と酸素が…反応」は誤り。

    • (40)図のようにトラス構造の格点 C に荷重 P を作用させ大きさを漸増させていく。荷重 P により部材(5)にオイラー座屈が発生するときの荷重 P の大きさとして、適当なものはどれか。ただし、部材(5)はヤング係数 E の材料からなり、紙面法線方向に回転するピンで両端が支持され、図のような 1 辺の長さが a の正方形断面を有しているとする。πは円周率を表す。
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    正解:1)

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(7)

    • (31)疲労損傷に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1) 降伏点よりも大きい応力の繰り返しによりき裂が発生・進展するような疲労現象を高サイクル疲労と呼ぶ。

    2) き裂の進展が最終的に止まる場合、その理由として、き裂先端応力の低下や残留応力の解放等の影響が挙げられる。

    3) 溶接部の疲労強度を向上させるためには、鋼材の強度を増すことが効果的である。

    4) 損傷部位の補修補強の設計には、FEM 解析が必須となる。

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    正解:2)

    1. ×
       高サイクル疲労は通常降伏点より小さい応力振幅で塑性をほとんど伴わず多数回(例:10^4〜10^6回以上)で破壊に至る現象です。降伏より大きい応力の繰返しは低サイクル疲労の領域です。

    2.  き裂が進展しても最終的に進展が止まることがあり、その理由にはき裂先端の有効応力低下(応力拡大係数の低下、き裂先端の塑性ひずみによる過負荷保護、き裂閉じ効果等)や残留応力(圧縮)による抑止効果などが含まれます。
    3. ×
       溶接部の疲労強度は主に形状・応力集中(溶接トウ部の不連続、欠陥)や残留応力、表面状態で支配されるため、単に母材強度を上げることだけでは溶接部疲労耐力の改善には限界があります。
    4. ×
       FEM解析は有用で設計の精度を上げるが、必須ではない。経験式や簡易計算、規格・基準に基づく評価、実測による確認などで設計・評価できる場合も多い。
    • (32)下の写真に示す溶接部に発生したき裂に関する a)~c) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) このき裂は溶接ルート部から発生したものである。

    b) ガセットと直交する方向(方向 A)の応力が、き裂の発生・進展原因となっている。

    c) 表面切削によりき裂を除去することができる。

    1) なし

    2) 1 つ

    3) 2 つ

    4) 3 つ

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    正解:1)

    a) このき裂は、回し溶接の止端部から発生する止端亀裂である。よって不適当である。

    b) ガセットと平行な方向(方向 A と直交方向)の応力が、き裂の発生・進展原因となっている。よって不適当である。

    c) 表面切削によりき裂を除去することはできず、応急措置として、き裂の両端にストップホールを設け、き裂の進展を止めることが必要である。必要に応じて、当て板などによる補修が必要である。

    • (33)写真に示す RC 床版を有する鋼飯桁橋の疲労き裂に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 疲労き裂から錆汁が発生している。

    2) 放置すると主桁腹板と上フランジ間の首溶接にも疲労き裂が発生する恐れがある。

    3) 活荷重による隣接主桁間のたわみ差や床版のたわみにより発生したと考えられる。

    4) 疲労照査する場合の継手の種類として、面外ガセット継手を用いてよい。

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    正解:4)

    この疲労き裂部の継手は、荷重非伝達型の十字溶接継手として取り扱うべきである。

    • (34)下図に示す強度等級が G 等級である継手に、200 万回基本疲労強度(50N/mm2)の 2 倍である 100 N/mm2 の応力範囲が繰り返し生じた時の設計疲労寿命として、適当なものはどれか。

    1) 10 万回

    2) 25 万回

    3) 50 万回

    4) 100 万回

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    正解:2)

    応力範囲 Δσと繰返し数 N 、S-N 曲線の傾きを表す定数 m (直応力を受ける場合は m =3)、疲労強度を決める定数Cには、以下のような関係がある。

    Δσ**m・N=C
    N=(50**3*200,000)/(100**3)=250,000

    • (35)疲労に対する補強方法に関する記述中の空欄(ア)~(イ)に当てはまる語句の組合せとして、適当なものはどれか。

    疲労に対する補強方法として、溶接継手部の疲労強度の向上、部材接合部の構造ディテールの改良、橋梁全体構造の改良が挙げられる。溶接継手部の疲労強度の向上では、例えば溶接部の止端仕上げを行うことにより、 止端部の局部的な応力集中を低減する方法がある。その際には、母材と溶接部の境界に(ア)を示すラインを残してはならない。部材接合部の構造ディテールの改良では、応力の伝達がスムーズとなるように構造ディテールを改良したり、添接板やリブなどの補強材の添加にて接合部の(イ)を高めることにより、発生する応力、変形を低減させる。

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    正解:3)

    (ア)について

    止端仕上げ(グラインダー仕上げなど)を行う際、ビードの境界がはっきり残ると応力集中を招くので、滑らかに仕上げる必要があります。

    よって(ア)は 溶接止端を意味します。

    (イ)について

    補強材を入れる目的は「局所的な応力を分散」させること。

    つまり接合部の「剛性」を高めることで、変形や応力集中を抑制します。

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(6)

    • (26)塗装の塗替えに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1) 素地調整の程度は、1 種から 4 種に区分されており、1 種に近づくほど塗膜の除去程度が高くなる。

    2) 鋼道路橋および鋼鉄道橋では、旧塗膜はブラストにより完全に除去するのが原則である。

    3) 塗膜はく離剤は、さびの除去など鋼材面の素地調整に有効であるが、塗膜が厚いと素地に浸透しないため、事前にブラスト作業を行う必要がある。

    4) 塗膜損傷部などで部分塗替えをする場合、 旧塗膜の上に新塗膜を塗り重ねると早期剥離が間題となるため、境界部については塗り重ねないのが原則である。

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    正解:1)

    1) ○

     素地調整の程度は JIS 規格などで 1種(全面ブラスト)~4種(手工具による除去)に区分され、1種に近いほど塗膜・さびの除去程度が高い。これは正しい。

    2) ×

     道路橋や鉄道橋でも、経済性や環境負荷を考え、原則として健全な旧塗膜は活用し、全面ブラストで完全除去するのは特殊な場合。

    3) ×

     塗膜はく離剤は塗膜を軟化・膨潤させて剥がすもの。さびの除去には有効ではないし、厚膜でもブラスト前提という運用は通常行わない。

    4) ×

     部分塗替えでは旧塗膜に重ね塗りするのが基本。ただし境界部は段差を目立たなくするために必要に応じて「ケレン」を行ってから塗り重ねる。塗り重ねないのが原則、というのは誤り。

    • (27)塗膜劣化、腐食の調査および評価に関する a)~c) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) 腐食環境調査として飛来塩分量を計測した。

    b) 耐候性鋼の全表面がうろこ状さびに覆われていたことから保護性さびが形成されていると評価した。

    c) さび、塗膜のはがれや割れ、膨れの発生程度などによって塗膜の健全性を評価した。

    1) なし

    2) 1 つ

    3) 2 つ

    4) 3 つ

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    正解:3)

    • a)○
       飛来塩分量の計測は海岸環境などの腐食環境評価で重要。腐食速度や塗膜寿命の推定に役立つ。
    • b)×
       耐候性鋼に生じる保護さびは密着して均一で剥がれないものが望ましい。「うろこ状に覆われている」— すなわち剥離しやすい鱗状さびなら保護性さびとは言えない。
    • c)○
       さびの程度、塗膜の剥がれ・割れ・膨れなどは塗膜健全性評価の基本項目。
    • (28)鋼材の腐食に関する a) ~d) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) コンクリートに埋め込まれた鋼部材は、地際部で腐食が進行することがある。

    b) 普通鋼材をステンレスボルトで連結すると、異種金属接触腐食を生じることがある。

    c) 鋼板の重ね合わせ部やボルト締付け面などの隙間内外で濃淡電池が形成され、隙間腐食を生じることがある。

    d) 鋼材表面に塩分が付着すると、潮解作用により腐食の進行が促進されることがある。

    1) 1 つ

    2) 2 つ

    3) 3 つ

    4) 4 つ

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    正解:4)

    • a)○
      コンクリート埋設部でも、地際やスプラッシュゾーンなど水分や塩分が集中する部位では塩害や炭酸化が進みやすく、腐食が進行することがある。
    • b)○
      異種金属の接触(普通鋼+ステンレス等)は電位差により腐食を生じ、普通鋼側が犠牲的に腐食する可能性がある。
    • c)○
      重ね部やボルト締付面の隙間では攪拌されにくく酸素濃淡電池が形成され、隙間腐食が起こりやすい。
    • d)○
      塩分が付着すると潮解により表面に電解質が形成され,腐食反応が促進される。
    • (29)塗装の役割に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 塩類、水、酸素などの腐食因子の侵入を遮断する。

    2) アノード・カソード間の腐食電流を遮断する。

    3) 鉄よりイオン化傾向の小さな材料で被覆して鉄の溶出を防止する。

    4) 構造物の美観を保つ。

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    正解:3)


    1.  塗膜はバリアとして働き,塩分・水分・酸素の侵入を抑制するのが基本的役割。

    2.  塗膜で金属表面を覆うことで,アノード・カソード間の電子のやりとり(腐食電流)を遮断できる。
    3. ×(不適当)
       鉄よりイオン化傾向の小さい材料(貴な金属)で被覆すると,むしろ鉄がアノードになって腐食が促進される恐れがある(例:ステンレス被覆鋼でのガルバニック腐食)。犠牲防食としては鉄よりイオン化傾向の大きい亜鉛などを使う。

    4.  塗装は防食と並んで美観保持の機能も大きい。
    • (30)腐食した鋼部材の補修・補強に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1) 年代のわからない鋼材の溶接性をCeq、PCM の値に加えて P、S の含有量から判断した。

    2) 摩擦係数の向上を期待して、腐食面の不陸を残し、高力ボルトで当て板を取り付けた。

    3) 耐荷力に問題がなかったので、腐食原因を取り除いた上で再塗装と判断した。

    4) 腐食が激しい部位の素地調整に、ブラストと水洗いを併用した。

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    正解:2)

    理由:摩擦接合(スリップクリティカル接合)では摩擦係数を確保するために、**指定された素地調整(通常はブラスト等で錆・汚れを完全に除去して平滑にする)**が必要です。腐食による不陸(凹凸)を残したまま高力ボルトで当て板を付けると、接触面が均一に締まらずクランプ力や有効摩擦面積が低下し、むしろ滑りや早期損傷の原因になります。

    代替策としては、凹凸を除去する(ブラスト、面取り、修補材充填、必要なら当該部材の交換)してから所定の締め付けや当て板設置を行う、あるいは摩擦接合ではなく軸力やせん断を負担させる別の補強方式を検討する、などが適切です。

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(5)

    • (21)磁気(磁粉)探傷試験に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1) 磁場の強さは電流値に正比例し、電流の中心軸からの距離に反比例する。

    2) 欠陥の深さ方向の形状、および大きさが分かる。

    3) 試験体が強磁性体でなくても適用できる。

    4) 欠陥の方向に平行する磁束を与えることが重要である。

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    正解:1)


    1. 磁場の強さはアンペールの法則に従い、電流値に比例し、中心軸からの距離に反比例する(H = I / 2πr)。
    2. ×
      磁粉探傷試験では表面や表面直下のき裂や欠陥の有無や位置は検出できるが、深さ方向の寸法や形状までは分からない。
    3. ×
      適用できるのは強磁性体(鉄鋼材料など)に限られる。非磁性体(アルミ、オーステンレス系SUS304など)には適用できない。
    4. ×
      欠陥検出のためには欠陥に直交する磁束を与えることが重要。欠陥方向と平行に磁束を与えると漏れ磁束が生じず、検出できない。
    • (22)湿式現像法による浸透探傷試験の手順として作業 A~F を正しい順番に並べたものはどれか。

    A: 現像被膜に現れた指示模様を目視により観察し、欠陥の有無、また疑似模様か否かを判断し評価する。

    B: 試験範囲の塗膜やさび、塵埃などの付着物を丁寧に除去し、地肌を完全に露出させる。

    C: 現像剤を試験体表面に薄く均ーに塗布した後、 熱風または温風を用いて水分を蒸発させる。

    D: 浸透液を必要箇所に十分に吹き付け、また浸透液が欠陥の中に浸透するのに必要かつ十分な時間を確保する。

    E: 試験体表面に付着している余剰浸透液を除去する。

    1) B→D→E→C→A

    2) B→C→D→E→A

    3) C→D→A→B→E

    4) D→E→B→C→A

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    正解:1)

    浸透探傷試験(PT, 特に湿式現像法)の基本手順は次の流れです👇

    1. 前処理(前清掃) → 表面のさび・塗膜・油分などを完全に除去(B)
    2. 浸透処理 → 浸透液を塗布し、規定の浸透時間を確保(D)
    3. 除去処理 → 表面に残った余剰浸透液をきれいに拭き取る(E)
    4. 現像処理 → 現像剤を均一に塗布し、乾燥させる(C)
    5. 観察・評価 → 指示模様を目視で確認し、欠陥の有無を判定(A)

    よって正しい順番は

    B → D → E → C → A

    • (23)塗膜劣化度の測定法に関する a)~d) の記述のうち,適当なものはいくつか。

    a) 碁盤目・クロスカットテープ付着試験は、塗膜の付着力を定量的に示すことができる試験方法である。

    b) 引張付着試験は、垂直に引張力を与え、塗膜を剥離させることにより、塗膜の付着力を測定する試験方法である。

    c) インピーダンス測定は、塗膜と鋼材間の電位差を測定し、塗膜劣化度を評価する試験方法である。

    d) 光沢測定は、光沢度の経時的な変化から劣化状況を評価する試験方法である。

    1) 1 つ

    2) 2 つ

    3) 3 つ

    4) 4 つ

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    正解:2)

    a) 碁盤目・クロスカットテープ付着試験

    • テープで引き剥がし、残存率などを評価する方法。
    • 定量的というよりは「半定量的」「等級判定」であり、精密な数値ではなく目視による格付け。
      ➡ 不適当。

    b) 引張付着試験

    • ダンベル型治具を接着して直角に引張荷重を加え、剥離応力(N/mm²)を測定する方法。
    • 定量的に付着力を測れる。
      ➡ 適当。

    c) インピーダンス測定

    • 塗膜の交流インピーダンス(EIS)を測定し、抵抗や容量成分から劣化度を評価する。
    • 「電位差」を測るのではなく「インピーダンス」を測るのが正確。
      ➡ 記述が誤り。不適当。

    d) 光沢測定

    • 光沢度計で測定し、経時変化でチョーキングや退色などの劣化を評価できる。
      ➡ 適当。
    • (24)コンクリート構造物の調査に用いる赤外線サーモグラフィ法に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。

    1) 日射を熱源とする場合、晴天時に測定しないと精度の高い調査は期待できない。

    2) 剥離の検出深度は、一般的に構造物表面から 10mm 程度が限界である。

    3) 非破壊、非接触で遠隔からの調査が可能である。

    4) コンクリート内部の欠陥の深さや空隙の厚さの推定は難しい。

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    正解:2)


    1.  日射加熱を利用する場合、晴天で十分な温度差が得られる環境が必要。曇天や雨天では熱画像のコントラストが得られず検出精度が落ちる。
    2. ×(不適当)
       赤外線サーモグラフィでの剥離検出深さは、一般に**表面から数 cm 程度(20〜30mm 程度まで)**とされており、「10mm程度が限界」とするのは不正確。

    3.  赤外線カメラを用いるため、非破壊・非接触で遠隔調査が可能。橋脚や床版など高所・広範囲の調査に有効。

    4.  サーモグラフィは主に「表面温度分布」を利用するため、欠陥の深さや空隙厚の定量的推定は困難。
    • (25)下図に示すように、集中荷重 P,分布荷重 w が作用する梁のモーメント図のうち,、もっとも適当なものはどれか。
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    正解:4)

    荷重条件から、以下のようなモーメント図が想定される。

    支間 A~B:等分布荷重が載荷されるため,放物線

    支間 C~E:集中荷重が載荷されるため,三角形

    ヒンジ C:ヒンジのため,曲げモーメントはゼロ

    これらの条件をすべて満足するモーメント図は 4)となる.

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(4)

    • (16)下図に示す 3 径間連続ばりの影響線において,支点 B における曲げモーメントと反力の影響線形状の組合せのうち、もっとも適当なものはどれか。

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    正解:3)

    支点 B の曲げモーメント影響線は、径間 A~B、径間 B~C への載荷に対しては、負の曲げモーメントが生じる影響線となることから、a)の影響線が適切である。

    支点 B の反力の影響線は、径間 A~C の載荷に対しては正の反力が生じる影響線となり、径間C~D の載荷に対しては負の反力が生じる影響線となることから、 d)の影響線が適切である。

    • (17)損傷した構造物の評価に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。

    1) 腐食鋼材の引張強さや降伏点などの材料特性は、製造時の健全な母材から変化は無いものとして耐荷力を評価した。

    2) 損傷による断面欠損を考慮して応力度を計算し、これが鋼材の引張強さ以下であったので必要な耐荷力があると判断した。

    3) 荷重を実際に載荷して、たわみ、応力度および固有振動数などを測定し、損傷前の値と比較して健全性を評価した。

    4) 腐食した引張部材に対して、最大断面欠損率による有効板厚を用いて耐荷力を評価した。

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    正解:2)

    • 1) ○(適当)
      材料特性について、劣化がないものと仮定して評価するのは適切です。
    • 2) ×(不適当)
      損傷による断面欠損を考慮して応力度を計算し、これが引張材では降伏点以下、圧縮材では座屈耐荷力曲線以下、曲げ部材では基準曲げ耐荷力曲線以下であることを確認する必要がある。
    • 3) ○(適当)
      実荷重試験でたわみ・応力度・固有振動数等を測定して健全性を評価するのは信頼性の高い評価法です。
    • 4) ○(適当)
      腐食した引張部材では**最小有効断面(=最大欠損を反映した有効厚)**で耐力評価するのが保守的かつ通常の取り扱いです。
    • (18)鋼道路橋の補強、機能・耐久性向上に関する次の樹形図の(ア) ~ (ウ)の空欄に入る用語の組み合わせとして、適当なものはどれか。
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    正解:4)

    (ア)特に落橋防止構造、横変位拘束構造、制震デバイス設置は耐震性能に関するものである。

    (イ)特に疲労亀裂対策、防食機能向上は劣化に伴うものであることから、耐久性能に関するものである。

    (ウ)剛性向上に関するものは対荷性能に関するものである。

    • (19)応力頻度測定に関する a)~d) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) 構造物にとって標準的な応力状態を代表できる時期を選んで測定を行った.

    b) き裂を跨いでひずみゲージを貼付して測定を行った.

    c) 静ひずみ測定器を用いて測定を行った.

    d) レインフロー法を用いて応力範囲の頻度分布を求めた.

    1) 1つ

    2) 2つ

    3) 3つ

    4) 4つ

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    正解:2)

    • ) ○
      応力頻度測定は代表的な荷重状態を反映する時期に行うのが基本。季節・交通量などを考慮して測定時期を選ぶ。
    • b) ×
      ひび割れ(き裂)を跨いでひずみゲージを貼るのは誤り。ひずみは局所的に集中するため、き裂を跨ぐと正確な応力測定ができない。
    • c) ○
      静ひずみ計(ストレンゲージ)やロードセルなどで測定するのが一般的。
    • d) ○
      測定した応力データをレインフロー法で応力範囲ごとの回数分布に変換し、疲労評価などに用いる。
    • (20)単純桁の鉛直 1 次、鉛直 2 次のたわみ振動を測定する場合の測定位置および測定方向に関して、下記の中でもっとも適当なものはどれか。なお、選択肢の A~E は測定点を示し、x,z は測定方向を示し、それぞれ x は橋軸方向、z は鉛直方向を示す。
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    正解:2)

    鉛直たわみ振動を測定するうえで、固定支点ー固定支点の場合、下記のとおりである。

    鉛直1次振動:1次モードでの振動時振幅が最大:Cz

    鉛直2次振動:1次モードでの振動時振幅が最大:Bz,Dz

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(3)

    • (11)高力ボルト接合に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1)支圧接合用高力ボルトは、軸部を太くし、軸部分に溝をつけてボルト軸部とボルト孔との径差がほとんどない状態としている。

    2)引張接合は、高力ボルトの軸方向の力を伝達する接合法であり、主として材間圧縮力と相殺する形で作用外力の伝達が行われる。

    3)摩擦接合では、 設計で用いるすべり係数は接触面の表面処理状態に応じて規定されている。

    4)設計ボルト軸力は、F10T ではボルト材料の降伏点応力に対して、90%となる応力を基準としており、この応力は破断荷重の約 80%である。

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    正解:4)

    4)設計ボルト軸力は、降伏点応力に対してF8T で 85%、 F10T で 75%となる応力を基準としている。この応力は、破断荷重の約 65%となる。

    • (12)a)~c) の溶接において拘束度が大きい順に並べたものとして、適当なものはどれか。

    1)c) > a) > b)

    2)c) > b) > a)

    3)a) > b) > c)

    4)b) > c) > a)

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    正解:3)

    a)大拘束継手、b)中拘束継手、c)小拘束継手に分類されている。

    • (13)鋼橋のリベット接合に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1)工場での材片の組立に使用されなくなった後も、現場継手ではしばらくの間使われていた。

    2)現在、道路橋や鉄道橋では新設・補修ともにリベット接合の使用は禁止されている。

    3)リベットを抜く際は、ドリルによる方法よりもガス切断による方法が望ましい。

    4)接合材間に摩擦力は生じないため、軸部せん断抵抗と接合材支圧力により荷重を伝達する。

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    正解:1)

    1)正しい。

    2)現在、リベット接合を採用されることが少なくなり、施工ができる作業者も減っているが、使用が禁止されているわけではない。

    3)リベットを抜く際は,ガス切断による方法でも良いが、熱影響等による母材へのダメージが考えられることから、ドリルによる方法の方が望ましい。

    4)熱間リベットは冷却収縮で締付力(クランプ力)が生じ、摩擦も発生します。設計上は主に軸部せん断+支圧で評価しますが、「摩擦力は生じない」という断定は誤りです。

    • (14)高力ボルト接合に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。

    1) リラクセーションが生じる要因として、ねじ面、座面、被締付け材表面の粗さや形状誤差による局所的な弾性変形が考えられる。

    2) 摩擦接合で用いるトルシア形高力ボルトは、ボルト頭部側には座金を使用しない。

    3) 導入ボルト軸力の目標値は、設計ボルト軸力の 10%増しとするのが一般的である。

    4) 六角高力ボルトは、予め軸力計を用いてトルクと軸力の関係を求めたうえで、トルク法により締め付けるのが一般的である。

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    正解:1)

    1) リラクセーションの主因は、ねじ面・座面・摩擦面のクリープ/塑性な“なじみ”(塗膜や粗さ頂部のつぶれ)であって、局所的な弾性変形ではありません。弾性なら荷重解除で戻るため軸力は恒常的に低下しません。 

    2)トルシア形高力ボルトは頭側に座金を用いないのが基本(ナット側に1枚)です。ただし長締め等の例外規定はあります。

    3)導入軸力は設計ボルト軸力の+10%を目標とする扱いが道示で妥当とされています。

    4)六角高力ボルトは、事前に軸力計でトルク–軸力関係を確認し、トルク法で締付けるのが一般的です。

    • (15)コンクリートの特性に関する a)~c) の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a) セメント量が多いほどコンクリート強度が向上するため、温度ひび割れが生じにくくなる。

    b) 高炉スラグやフライアッシュを混入したコンクリートは、一般に初期の強度発現に時間を要するが、耐久性は向上する。

    c) 乾燥収縮は、乾燥によってコンクリート内部の微細空隙を満たしていた水がなくなることに伴う体積減少により生じる。

    1) なし

    2) 1 つ

    3) 2 つ

    4) 3 つ

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    正解:1)

    1) リラクセーションの主因は、ねじ面・座面・摩擦面のクリープ/塑性な“なじみ”(塗膜や粗さ頂部のつぶれ)であって、局所的な弾性変形ではありません。弾性なら荷重解除で戻るため軸力は恒常的に低下しません。 

    2)トルシア形高力ボルトは頭側に座金を用いないのが基本(ナット側に1枚)です。ただし長締め等の例外規定はあります。

    3)導入軸力は設計ボルト軸力の+10%を目標とする扱いが道示で妥当とされています。

    4)六角高力ボルトは、事前に軸力計でトルク–軸力関係を確認し、トルク法で締付けるのが一般的です。

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(2)

    • (6)金属溶射による鋼構造物の防食に関する a)~d)の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a)溶射金属が消耗してしまうと被溶射物である鋼材が腐食することになる。

    b)被溶射物への熱影響が溶融亜鉛めっきよりも少なく、熱によるひずみが生じにくい。

    c)環境遮断効果と電気化学的作用によって鋼素地の防食を行う。

    d)金属溶射に加えて、表面に塗装を行う場合がある。

    1)1つ

    2)2つ

    3)3つ

    4)4つ

    解答はここをクリック

    解答:4)

    a)溶射金属が消耗すれば、水などの腐食因子を遮断する機能が失われるため、被溶射物は腐食する。溶射金属の消耗が小面積であれば塗装、大面積であれば金属溶射、塗装などで補修する必要がある。

    b)溶融亜鉛めっきは溶融亜鉛めっき槽に浸けることで母材にめっきを付着させる。金属溶射は溶融金属を吹き付けて付着させる。そのため温度影響で比較すると溶融亜鉛めっきよりも熱によるひずみは発生しにくい。

    c)金属溶射は水などの腐食因子を遮断する環境遮断効果と鉄よりも電気的にイオン化しやすい(腐食しやすい)金属を溶射する電気化学的作用(犠牲防食作用)の2つの効果により鋼素地の防食を行う。

    d)金属溶射は、単独でも強い防食効果を発揮するが、より高い防食性能を求める場合や、外観を向上させたい場合など,金属溶射の上に塗装を行うことがある。有名なところでは、関門橋で金属溶射と塗装を併用している。

    • (7)鋼構造物の塗装に関する a)~c)の記述のうち、適当なものはいくつか。

    a)無機ジンクリッチペイントは、主に塗替え塗装の防食下地として用いられる

    b)有機ジンクリッチペイントは、 無機ジンクリッチペイントに対して単位亜鉛量が少なく犠牲防食作用の点で防錆性に劣る。

    c)エポキシ樹脂塗料は、 美観上の配慮から塗膜の光沢や色相を長期間保持しようとする場合の上塗塗装として用いられる。

    1)なし

    2)1つ

    3)2つ

    4)3つ

    解答はここをクリック

    正解:2)

    a)無機ジンクリッチペイントは現場での塗替え塗装は湿度管理が必要であり、品質管理上、困難である。無機ジンクリッチペイントは主に新設時の工場塗装で用いられる。よって、間違いである。

    b)有機ジンクリッチペイントは無機ジンクリッチペイントに比べて、単位亜鉛量が少なく、犠牲防食作用の点で防錆効果に劣る。しかし、樹脂系塗料であり、現場での塗装が可能なことから、塗替え塗装で用いられることが多い。よって、正しい。

    c)エポキシ樹脂塗料は耐候性が低いため、上塗塗装として用いられない。エポキシ樹脂塗料は主に下塗塗装として用いられる。上塗り塗装としては、ポリウレタン樹脂系、ふっ素樹脂系塗料が用いられることが多い。よって、間違いである。

    • (8)溶接欠陥に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1)溶接ビードの止端に沿って生じる溶接割れをアンダカットという。

    2)溶接部の凝固温度範囲またはその直下のような高温で発生する割れを高温割れという。

    3)設計溶込みに比べ実溶込みが不足していることを溶込不良という。

    4)母材表面に直角方向の強い引張拘束応力が生じる継手において、熱影響部及びその隣接部に母材表面と平行に生じる割れをラメラテアという。

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    正解:1)

    1)溶接ビードの止端に沿って生じる溶接割れをトウ割れといいます。アンダカットは、母材の溶接ビード止端部が溶け落ちて、母材表面よりもえぐれた状態 のことをいいます。

    • (9)下図の断面の図心を通る x 軸に関する断面二次モーメントについて、適当なものはどれか。

    1)50程度

    2)200程度

    3)700程度

    4)1500程度

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    正解:3)

    断面2次モーメントは下記より算出できる。

    Ix=bh^3/12

    =(10*10**3-4*6**3*2)/12=689.3

    • (10)溶接に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1)溶接ビードには、溶接線方向に圧縮の溶接残留応力が発生する。

    2)溶接残留応力は、静的な引張強さ、疲労強度への影響は少ない。

    3)溶接時の拘束を大きくすることで、溶接残留応力を低減することができる。

    4)溶接入熱は、溶接電流、アーク電圧に比例し、溶接速度に反比例する。

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    正解:4)

    1)溶接ビードには、溶接線方向に引張の溶接残留応力が発生する。

    2)溶接残留応力は、静的な引張強さ、疲労強度への影響がある

    3)溶接時の拘束を小さくすることで、溶接残留応力を低減することができる。

    4)正しい。

  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(1)

    • (1)次のア)〜ウ)の橋梁とA)〜C)に示す説明の組み合わせとして適当なものはどれか。

    ア)アイアンブリッジ

      イ)ブリタニア橋

      ウ)タコマ・ナロウズ橋

    【橋梁構造物の説明】

      A)1940年に強風の影響により落橋した吊り橋

      B)1779年に竣工した世界初の鉄橋と言われる鋳鉄製のアーチ橋

      C)ロバート・スチーブンソンによって設計され、1850年に開通した錬鉄製の連続箱桁橋

    (選択肢)

         ア)     イ)     ウ)

     1)   A)     B)      C)

     2)  C)     A)      B)

     3)  B)     C)      A)

     4)  B)     A)      C)

    解答はここをクリック

    正解:3)

    ア)アイアンブリッジは1779年に竣工した世界初の鉄橋と言われる鋳鉄製のアーチ橋 イ)ブリタニア橋はロバート・スチーブンソンによって設計され、1850年に開通した蓮鉄製の連続箱桁橋 ウ)タコマ・ナロウズ橋は1940年に強風の影響により落橋した吊り橋

    アイアンブリッジとタコマ橋は問題としてよく出るため覚えておくと良いでしょう。アイアンブリッジは鉄を材料として建設した最初の橋であり、橋の名前から連想しやすく、覚えておきやすいです。タコマ橋は米国ワシントン州のタコマに新設計によるつり橋が完成しましたが、完成後わずか4ヶ月のち、毎秒19m/sの横風のために崩壊してしまいました。横風による橋の自励振動が原因でした。落橋の動画が残っており、衝撃的な落橋の仕方となっています。一度、動画を見ておくと覚えやすいかと思います。

    • (2)高性能鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

      1)耐疲労鋼は、複数の金属を複合組織とすることで、疲労亀裂の発生を防止できる。

      2)高強度鋼(高張力鋼)は、一般には降伏点または耐力が600N/mm2以上の鋼材で、板厚を薄くすることが可能で、橋梁の軽量化が図れる。

      3)降伏点一定鋼は、板厚40mmを超える鋼材で、降伏点または耐力の上限値が板厚により変化しないことを保証した鋼材である。

      4)クラッド鋼は、異種の金属材料を接合した鋼材であり、ステンレスやチタンを合わせ材に用いることにより耐食性を高められる。

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    正解:4)

    1)耐疲労鋼は、疲労強度を高めるために、合金元素の添加や熱処理などの方法を用いて、鋼材の組織を緻密化したり、析出物を生成させたりすることで疲労寿命を延ばします。複合組織とすることで疲労強度をさせたものではありません。

    2)高強度鋼は、一般に引張強さが 600N/mm2以上の鋼材で,最近では引張強さ HT690,HT780, HT950 など700~800N/mm2 級以上の鋼材を指すことが多くなっています。高強度鋼 (高張力鋼)を利用することにより,板厚を薄くすることが可能で,橋梁の軽最化が図れます。

    3)降伏点一定鋼は,板厚 40mm を超える鋼材で,降伏点または耐力の下限値が板厚により変化しないことを保証した鋼材です。

    4)問題文の通りです。クラッド鋼は問題として出やすいので、覚えておきましょう。石川県にある日本海に面した手取川橋では、塩害により劣化したコンクリート桁の架け替え工事において、対塩害性や耐海水性
    の観点から橋桁全体にステンレスクラッド鋼を用いる例もあり、今後クラッド鋼の活用が広がるかもしれません。

    • (3)鋼材の機械的特性に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1)縦弾性係数は、引張強さが大きい鋼材ほど大きくなる。

    2)引張強さは、一軸引張荷重下において、材料が破断する瞬間の応力度を表す。

    3)ポアソン比は、弾性域における荷重作用方向に対する直角方向の直ひずみの比である。

    4)炭素鋼の線膨張係数は、常温において 2.0×10-6/℃程度である。

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    正解:3)

    1) 縦弾性係数は材料の剛性を表す指標で、一般的に材料の種類によって決まり、引張強さとは直接的な関係はありません。

    2) 引張強さは、材料引張試験における最大荷重 P を供試体の初期断面積 A₀で除して求めます。そのため。材料が破断する瞬間の応力度(=最大荷重/破断時の断面積)ではありません。

    3) ポアソン比は、材料が一方に伸びると、その直角方向に縮む割合を表す値であり、この記述は、ポアソン比の定義そのものです。

    4) 炭素鋼の線膨張係数は、1.2×10-5/℃程度です。

    • (4)鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1)SM490Y材の引張強さの規格値は、SM490材の引張強さの規格値と同じである。

    2)SM490A 材、SM490B 材、SM490C 材は降伏点の規格値が異なる。

    3)SBHS500 材は、引張強さが 500N/mm2 以上と規定されている。

    4)SMA 材は、耐候性向上のため SM 材に比べて C の含有量の規格値が大きい。

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    正解:1)

    1) SM490Y 材の引張強さの規格値は 490~610N/mm2、SM490 材の引張強さの規格値も490~610N/mm2 で同じです。違いは降伏点であり、SM490Y 材の降伏点の規格値は365N/mm2 以上 (t≦16mm) 、SM490 材の降伏点の規格値は325N/mm2 以上 (t≦16mm)となっています。

    2) SM490A 材、 SM490B 材、 SM490C 材の降伏点の規格値は、325N/mm2 以上 (t≦16mm)と同一となっています。

    3) SBHS500 材は,降伏点が 500N/mm2 以上と規定されています。

    4) SMA 材は,耐候性向上のため SM 材に比べて Cu と Cr の含有量の規格値が大きくなります。

    • (5)鋼に含有する合金元素の役割に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1)C:炭化物、マルテンサイトなどの構造を介して強度、硬さ、耐摩耗性を増大させる。

    2)P:オーステナイト系ステンレス鋼に利用され、低温、高温での靱性を改善する。

    3)Si:精錬時の脱酸、フェライトの強化、安定化に用いる。

    4)Mn:焼入れ性向上により強度、靱性を向上させる。

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    正解:2)

    P:有害な不純物であり、低温脆性を悪くします。焼戻しマルテンサイト鋼では粒界に偏析すると、焼戻し脆性、水素脆性の誘因になります。溶接を考慮しない耐候性鋼では、合金元素として Cuと共に利用されます。