- (1)次のア)〜ウ)の橋梁とA)〜C)に示す説明の組み合わせとして適当なものはどれか。
ア)アイアンブリッジ
イ)ブリタニア橋
ウ)タコマ・ナロウズ橋
【橋梁構造物の説明】
A)1940年に強風の影響により落橋した吊り橋
B)1779年に竣工した世界初の鉄橋と言われる鋳鉄製のアーチ橋
C)ロバート・スチーブンソンによって設計され、1850年に開通した錬鉄製の連続箱桁橋
(選択肢)
ア) イ) ウ)
1) A) B) C)
2) C) A) B)
3) B) C) A)
4) B) A) C)
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正解:3)
ア)アイアンブリッジは1779年に竣工した世界初の鉄橋と言われる鋳鉄製のアーチ橋 イ)ブリタニア橋はロバート・スチーブンソンによって設計され、1850年に開通した蓮鉄製の連続箱桁橋 ウ)タコマ・ナロウズ橋は1940年に強風の影響により落橋した吊り橋
アイアンブリッジとタコマ橋は問題としてよく出るため覚えておくと良いでしょう。アイアンブリッジは鉄を材料として建設した最初の橋であり、橋の名前から連想しやすく、覚えておきやすいです。タコマ橋は米国ワシントン州のタコマに新設計によるつり橋が完成しましたが、完成後わずか4ヶ月のち、毎秒19m/sの横風のために崩壊してしまいました。横風による橋の自励振動が原因でした。落橋の動画が残っており、衝撃的な落橋の仕方となっています。一度、動画を見ておくと覚えやすいかと思います。
- (2)高性能鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1)耐疲労鋼は、複数の金属を複合組織とすることで、疲労亀裂の発生を防止できる。
2)高強度鋼(高張力鋼)は、一般には降伏点または耐力が600N/mm2以上の鋼材で、板厚を薄くすることが可能で、橋梁の軽量化が図れる。
3)降伏点一定鋼は、板厚40mmを超える鋼材で、降伏点または耐力の上限値が板厚により変化しないことを保証した鋼材である。
4)クラッド鋼は、異種の金属材料を接合した鋼材であり、ステンレスやチタンを合わせ材に用いることにより耐食性を高められる。
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正解:4)
1)耐疲労鋼は、疲労強度を高めるために、合金元素の添加や熱処理などの方法を用いて、鋼材の組織を緻密化したり、析出物を生成させたりすることで疲労寿命を延ばします。複合組織とすることで疲労強度をさせたものではありません。
2)高強度鋼は、一般に引張強さが 600N/mm2以上の鋼材で,最近では引張強さ HT690,HT780, HT950 など700~800N/mm2 級以上の鋼材を指すことが多くなっています。高強度鋼 (高張力鋼)を利用することにより,板厚を薄くすることが可能で,橋梁の軽最化が図れます。
3)降伏点一定鋼は,板厚 40mm を超える鋼材で,降伏点または耐力の下限値が板厚により変化しないことを保証した鋼材です。
4)問題文の通りです。クラッド鋼は問題として出やすいので、覚えておきましょう。石川県にある日本海に面した手取川橋では、塩害により劣化したコンクリート桁の架け替え工事において、対塩害性や耐海水性
の観点から橋桁全体にステンレスクラッド鋼を用いる例もあり、今後クラッド鋼の活用が広がるかもしれません。
- (3)鋼材の機械的特性に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1)縦弾性係数は、引張強さが大きい鋼材ほど大きくなる。
2)引張強さは、一軸引張荷重下において、材料が破断する瞬間の応力度を表す。
3)ポアソン比は、弾性域における荷重作用方向に対する直角方向の直ひずみの比である。
4)炭素鋼の線膨張係数は、常温において 2.0×10-6/℃程度である。
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正解:3)
1) 縦弾性係数は材料の剛性を表す指標で、一般的に材料の種類によって決まり、引張強さとは直接的な関係はありません。
2) 引張強さは、材料引張試験における最大荷重 P を供試体の初期断面積 A₀で除して求めます。そのため。材料が破断する瞬間の応力度(=最大荷重/破断時の断面積)ではありません。
3) ポアソン比は、材料が一方に伸びると、その直角方向に縮む割合を表す値であり、この記述は、ポアソン比の定義そのものです。
4) 炭素鋼の線膨張係数は、1.2×10-5/℃程度です。
- (4)鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1)SM490Y材の引張強さの規格値は、SM490材の引張強さの規格値と同じである。
2)SM490A 材、SM490B 材、SM490C 材は降伏点の規格値が異なる。
3)SBHS500 材は、引張強さが 500N/mm2 以上と規定されている。
4)SMA 材は、耐候性向上のため SM 材に比べて C の含有量の規格値が大きい。
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正解:1)
1) SM490Y 材の引張強さの規格値は 490~610N/mm2、SM490 材の引張強さの規格値も490~610N/mm2 で同じです。違いは降伏点であり、SM490Y 材の降伏点の規格値は365N/mm2 以上 (t≦16mm) 、SM490 材の降伏点の規格値は325N/mm2 以上 (t≦16mm)となっています。
2) SM490A 材、 SM490B 材、 SM490C 材の降伏点の規格値は、325N/mm2 以上 (t≦16mm)と同一となっています。
3) SBHS500 材は,降伏点が 500N/mm2 以上と規定されています。
4) SMA 材は,耐候性向上のため SM 材に比べて Cu と Cr の含有量の規格値が大きくなります。
- (5)鋼に含有する合金元素の役割に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
1)C:炭化物、マルテンサイトなどの構造を介して強度、硬さ、耐摩耗性を増大させる。
2)P:オーステナイト系ステンレス鋼に利用され、低温、高温での靱性を改善する。
3)Si:精錬時の脱酸、フェライトの強化、安定化に用いる。
4)Mn:焼入れ性向上により強度、靱性を向上させる。
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正解:2)
P:有害な不純物であり、低温脆性を悪くします。焼戻しマルテンサイト鋼では粒界に偏析すると、焼戻し脆性、水素脆性の誘因になります。溶接を考慮しない耐候性鋼では、合金元素として Cuと共に利用されます。