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  • 土木鋼構造診断士・補 過去問2024年択一問題(1)

    • (1)次のア)〜ウ)の橋梁とA)〜C)に示す説明の組み合わせとして適当なものはどれか。

    ア)アイアンブリッジ

      イ)ブリタニア橋

      ウ)タコマ・ナロウズ橋

    【橋梁構造物の説明】

      A)1940年に強風の影響により落橋した吊り橋

      B)1779年に竣工した世界初の鉄橋と言われる鋳鉄製のアーチ橋

      C)ロバート・スチーブンソンによって設計され、1850年に開通した錬鉄製の連続箱桁橋

    (選択肢)

         ア)     イ)     ウ)

     1)   A)     B)      C)

     2)  C)     A)      B)

     3)  B)     C)      A)

     4)  B)     A)      C)

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    正解:3)

    ア)アイアンブリッジは1779年に竣工した世界初の鉄橋と言われる鋳鉄製のアーチ橋 イ)ブリタニア橋はロバート・スチーブンソンによって設計され、1850年に開通した蓮鉄製の連続箱桁橋 ウ)タコマ・ナロウズ橋は1940年に強風の影響により落橋した吊り橋

    アイアンブリッジとタコマ橋は問題としてよく出るため覚えておくと良いでしょう。アイアンブリッジは鉄を材料として建設した最初の橋であり、橋の名前から連想しやすく、覚えておきやすいです。タコマ橋は米国ワシントン州のタコマに新設計によるつり橋が完成しましたが、完成後わずか4ヶ月のち、毎秒19m/sの横風のために崩壊してしまいました。横風による橋の自励振動が原因でした。落橋の動画が残っており、衝撃的な落橋の仕方となっています。一度、動画を見ておくと覚えやすいかと思います。

    • (2)高性能鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

      1)耐疲労鋼は、複数の金属を複合組織とすることで、疲労亀裂の発生を防止できる。

      2)高強度鋼(高張力鋼)は、一般には降伏点または耐力が600N/mm2以上の鋼材で、板厚を薄くすることが可能で、橋梁の軽量化が図れる。

      3)降伏点一定鋼は、板厚40mmを超える鋼材で、降伏点または耐力の上限値が板厚により変化しないことを保証した鋼材である。

      4)クラッド鋼は、異種の金属材料を接合した鋼材であり、ステンレスやチタンを合わせ材に用いることにより耐食性を高められる。

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    正解:4)

    1)耐疲労鋼は、疲労強度を高めるために、合金元素の添加や熱処理などの方法を用いて、鋼材の組織を緻密化したり、析出物を生成させたりすることで疲労寿命を延ばします。複合組織とすることで疲労強度をさせたものではありません。

    2)高強度鋼は、一般に引張強さが 600N/mm2以上の鋼材で,最近では引張強さ HT690,HT780, HT950 など700~800N/mm2 級以上の鋼材を指すことが多くなっています。高強度鋼 (高張力鋼)を利用することにより,板厚を薄くすることが可能で,橋梁の軽最化が図れます。

    3)降伏点一定鋼は,板厚 40mm を超える鋼材で,降伏点または耐力の下限値が板厚により変化しないことを保証した鋼材です。

    4)問題文の通りです。クラッド鋼は問題として出やすいので、覚えておきましょう。石川県にある日本海に面した手取川橋では、塩害により劣化したコンクリート桁の架け替え工事において、対塩害性や耐海水性
    の観点から橋桁全体にステンレスクラッド鋼を用いる例もあり、今後クラッド鋼の活用が広がるかもしれません。

    • (3)鋼材の機械的特性に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1)縦弾性係数は、引張強さが大きい鋼材ほど大きくなる。

    2)引張強さは、一軸引張荷重下において、材料が破断する瞬間の応力度を表す。

    3)ポアソン比は、弾性域における荷重作用方向に対する直角方向の直ひずみの比である。

    4)炭素鋼の線膨張係数は、常温において 2.0×10-6/℃程度である。

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    正解:3)

    1) 縦弾性係数は材料の剛性を表す指標で、一般的に材料の種類によって決まり、引張強さとは直接的な関係はありません。

    2) 引張強さは、材料引張試験における最大荷重 P を供試体の初期断面積 A₀で除して求めます。そのため。材料が破断する瞬間の応力度(=最大荷重/破断時の断面積)ではありません。

    3) ポアソン比は、材料が一方に伸びると、その直角方向に縮む割合を表す値であり、この記述は、ポアソン比の定義そのものです。

    4) 炭素鋼の線膨張係数は、1.2×10-5/℃程度です。

    • (4)鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

    1)SM490Y材の引張強さの規格値は、SM490材の引張強さの規格値と同じである。

    2)SM490A 材、SM490B 材、SM490C 材は降伏点の規格値が異なる。

    3)SBHS500 材は、引張強さが 500N/mm2 以上と規定されている。

    4)SMA 材は、耐候性向上のため SM 材に比べて C の含有量の規格値が大きい。

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    正解:1)

    1) SM490Y 材の引張強さの規格値は 490~610N/mm2、SM490 材の引張強さの規格値も490~610N/mm2 で同じです。違いは降伏点であり、SM490Y 材の降伏点の規格値は365N/mm2 以上 (t≦16mm) 、SM490 材の降伏点の規格値は325N/mm2 以上 (t≦16mm)となっています。

    2) SM490A 材、 SM490B 材、 SM490C 材の降伏点の規格値は、325N/mm2 以上 (t≦16mm)と同一となっています。

    3) SBHS500 材は,降伏点が 500N/mm2 以上と規定されています。

    4) SMA 材は,耐候性向上のため SM 材に比べて Cu と Cr の含有量の規格値が大きくなります。

    • (5)鋼に含有する合金元素の役割に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

    1)C:炭化物、マルテンサイトなどの構造を介して強度、硬さ、耐摩耗性を増大させる。

    2)P:オーステナイト系ステンレス鋼に利用され、低温、高温での靱性を改善する。

    3)Si:精錬時の脱酸、フェライトの強化、安定化に用いる。

    4)Mn:焼入れ性向上により強度、靱性を向上させる。

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    正解:2)

    P:有害な不純物であり、低温脆性を悪くします。焼戻しマルテンサイト鋼では粒界に偏析すると、焼戻し脆性、水素脆性の誘因になります。溶接を考慮しない耐候性鋼では、合金元素として Cuと共に利用されます。

  • 土木鋼構造診断士・診断士補の受講から受験の流れ

    土木鋼構造診断士・診断士補の申し込み・講習会受講から試験受験までの流れ

    土木鋼構造診断士・診断士補の講習会受講から試験受験までの流れ①〜④を説明します。

    ①講習会・試験の申込

    まずは講習会・試験の申込を行います。一般社団法人日本鋼構造物協会のホールページから土木鋼構造診断士・補の講習会・試験の申し込みを行います。申し込み期間は毎年5月中旬ごろから7月中旬ごろまでとなっています。この期間を逃すと講習会・試験の申し込みができなくなるので注意してください。申し込みはホームページに添付してある申込書を使用します。様式に沿って必要項目を記載します。ここで、実務経験を書き込む欄があります。土木鋼構造診断士を受験する方は試験内容にも関わりますので、しっかりと記載するようにしてください。

    ②講習会動画を視聴

     土木鋼構造診断士・補試験を受講するには講習会のweb動画の視聴が必須となります。①で申し込みを実施後、協会から講習会動画の視聴案内が届きます。その案内の通りに講習会動画を視聴する必要があります。視聴可能期間は決められており、概ね8月1日から31日までとなっています。この期間中に全ての動画を視聴する必要があります。視聴ログが残るため、視聴が終わっていない場合、試験を受験できないものと考えられます。必ず期間内に全ての講習会動画を視聴するようにしましょう。なお、講習会動画は合計13時間以上あるため、計画的に視聴することをお勧めします。

    ③受講申告書を提出

    ②で視聴した講習会動画について、章ごとに講習会動画を視聴した日と理解度等を記載する受講申告書を提出する必要があります。様式は協会のホームページで公開されています。また、講習会動画が15章あるうちの3章を選択し、得られた新たな学びや気づきを150字から200字で記載する必要があります。そのため、講習会動画はしっかりと聞いて、受講申告書を書く必要があります。受講申告書は必要事項をwordで記載後、印刷し、直筆で提出日、受講番号、氏名を記載し、PDFに変換後、指定されたメールアドレスにメールにて提出します。提出が確認されれば、協会から受領した旨の返信があります。

    ④試験の受験

    ①から③が完了したら、試験の受験ができます。会場は東京もしくは大阪のどちらかを①講習会・試験の申込の際に指定します。東京会場は例年、TKP市ヶ谷カンファレンスセンターで、大阪会場は例年、天満研修センターで実施されます。

    日時は10月の最終日曜日であることが多く、択一問題が10時から、専門記述式・業務経験論文記述式問題が午後からとなります。つまり、土木鋼構造診断士受験者は概ね10時から17時まで、土木鋼構造診断士補受験者は概ね10時から11時40分までとなります。

     持ち込みができるものは受講・受験票、筆記用具(鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム、定規)、時計(時計機能だけのものに限る)です。

    最後に

    筆者(私)は土木鋼構造診断士および補の受験しましたが、講習会動画を受講することが大きな負担でした。期間が限られていること、お盆期間でプライベートの予定があり時間があまり割けないこと、長期休暇があるため仕事が多忙でありあまり時間が割けないことから、隙間時間などうまく活用して、コツコツ進めていくことを心がけていました。講習会自体はその道のプロが解説してくれるため、仕事でも役に立つ内容が多く、しっかりと聞いておけば、試験の合格にもつながるのではないこと思います。とにかく、講習会動画を計画的に視聴して、期間内に受講申告書の提出までしっかりとこなせるようにしましょう。

  • 土木鋼構造診断士について

    土木鋼構造診断士とは、土木鋼構造物(例:橋梁、港湾構造物など)の劣化や損傷に対して、適切な点検・診断・対策の立案・指導などを行える専門技術者を認定する、日本鋼構造協会の民間資格です。国土交通省の技術者資格登録制度にも登録されており、公共工事における品質確保に貢献する資格とされています。「土木鋼構造診断士」は鋼構造物の点検・診断・対策の立案・指導ができる高度な資格であり、「土木鋼構造診断士補」はその補佐的役割を担う資格とされています。

    受験資格

    受験資格は下記の通りです。

    試験内容

    試験内容は土木鋼構造診断士補は択一式のみ、土木鋼構造診断士は択一式に加えて専門技術の記述問題、業務経験論文記述問題があります。試験時間は択一式が80分、専門記述式が105分、業務経験論文記述問題が105分となっています。

    受講料・受験料

    土木鋼構造診断士は33,000円、土木鋼構造診断士補は28,820円となっています。これには事前に受講しないといけない講習会費用が含まれています。テキストが不要な場合や講習会を受講しない場合は、金額が変わります。講習会はe-ラーニングによる講習となっており、決められた期間中に受講し、受講申告書の提出が求められています。詳細は日本鋼構造協会のHPをご確認ください。

    合格基準

    • 土木鋼構造診断士について
       受験資格と講習会受講の要件を満たし、択一式問題、業務経験論文記述式問題、専門記述式問題の成績が全て合格基準を満たす者を合格とします。問題別の合格基準は下記のとおりです。
       ○択一式問題の合格点は60%以上の得点
        ただし、試験の実施状況により合格点を変更する場合がある
       ○業務経験論文記述式問題の合格点は70%以上の得点とする
       ○専門記述式問題の合格点は70%以上の得点とする
      なお、択一式問題の成績が合格基準に満たない者については、業務経験論文記述式問題、専門記述式問題の採点を行いません。
      • 土木鋼構造診断士補について
         受験資格と講習会受講の要件を満たし、択一式問題の成績が合格基準を満たす者を合格とします。合格基準は下記のとおりです。 
         ○合格点(択一式問題)は54%以上の得点とする
         ただし、試験の実施状況により合格点を変更する場合がある

    土木鋼構造診断士試験受験について

    土木鋼構造診断士試験の択一式については過去問を解き、過去問を理解することで、60%以上の得点を取ることは可能です。また、過去問は公開されているため、過去問をしっかり勉強すれば択一式の合格は難しくありません。専門記述式問題は専門的な技術を理解していないと合格は難しいです。しかし、全てを解答する必要はなく、5問中2問など得意な問題を選んで解答できるので、得意な分野をしっかりと勉強しておく必要があります。業務経験論文記述式問題は毎年ほぼ同じ内容が聞かれるため、事前に準備が可能です。しっかりと準備して試験に臨むようにしましょう。

    最後に

    土木鋼構造診断士および土木鋼構造診断士補はこれから劣化が著しく進行した土木鋼構造を正しく点検・診断するために必要になってくる資格です。取得することで技術者として技術力を研鑽すること、技術力を証明することに繋がりますので、積極的な取得を目指して頑張ってください。

  • コンクリート診断士とは

    コンクリート診断士とは

    コンクリート診断士は公益社団法人日本コンクリート工学会が認証する資格です。コンクリート診断士試験を合格・登録することで、コンクリート診断士と名乗れるようになります。コンクリート診断士試験では、コンクリート及び鉄筋等の診断における計画、調査・測定、管理、指導及び判定、並びにそれらの品質劣化に関する予測及び対策等を実施する能力の有無が問われます。

    受験資格

    コンクリート診断士の受験資格は下記の通りです。

    試験の出題形式

    コンクリート診断士は四肢択一問題(40題)と記述問題(1000字以内)からなります。制限時間は3時間です。

    合格ライン

    四肢択一問題で60〜70%程度と言われています。

    どんな人が受験するか

    コンクリート構造物の点検・診断を行う技術者は取得したい資格です。取得していれば、コンクリート構造物の点検・診断する際に自信を持って点検・診断できますし、名刺にコンクリート診断士を持っていることを記載すれば、周りの人にコンクリートに関する技術がある技術者であることを証明することにもなります。

    受験に向けて

    これからコンクリート診断士を受験したいという人の役に立てるように投稿を始めたいと思います。よろしくお願いします。