土木鋼構造診断士・補 過去問2023年択一問題(9)

(41)鋼道路橋の疲労損傷に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) RC 床版を支持する縦桁では,横桁取合い部のウェブ切欠き部からき裂が発生することがある.

2) 上路アーチ橋の垂直材では,クラウン部から離れた,長い垂直材の上下端部にき裂が多く発生することがある.

3) 疲労損傷に対して補強を行った部位では,補強部材による剛性変化に伴い,近接する溶接部に新たなき裂が発生することがある.

4) 鋼製橋脚では,沓座溶接部や隅角部にき裂が発生することがある.

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正解:2)

  • 1) RC床版支持の縦桁では、横桁取合い部のウェブ切欠き(コープ)周りで歪み誘起(ねじり・面外変形)疲労が生じやすく、き裂事例が多い。→適当
  • 2) 上路アーチ橋の垂直材の疲労き裂は、一般にクラウン近傍の短い垂直材端や節点部での二次応力・面外変形の影響を受けやすい。設問の「クラウンから離れた長い垂直材の上下端に多発」は傾向と合致しない。→不適当
  • 3) 補強により局所剛性が変化すると、荷重再配分で近接溶接部に新たなき裂が生じることがある。→適当
  • 4) 鋼製橋脚では沓座溶接部や隅角部など応力集中箇所で疲労き裂が発生しやすい。→適当

(42)鋼道路橋の損傷に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) 桁端支点部で,沓座モルタルに損傷が生じている場合には,伸縮装置に段差がみられることがある.

2) 支承の腐食により回転機能や移動機能が低下している場合には, ソールプレートの溶接部に疲労き裂が生じていることがある.

3) 舗装に亀甲状のひび割れやポットホールが生じている場合には, 当該部位のコンクリー卜床版に損傷が進行していることがある.

4) F11T や F13T の高力ボルトでは遅れ破壊が発生することがあるため,既に全ての橋梁で交換されている.

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正解:4)

F11T・F13T 等の高力ボルトに遅れ破壊(水素脆化など)が発生することはあり得ますが、「そのため既に全ての橋梁で交換されている」という断定は誤りです。実際にはリスク評価や優先度に応じて交換・点検・管理が行われており、すべての橋で一律に交換済みという状況にはないのが現実です。

(43)コンクリート橋に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) PCT 桁橋の間詰め床版部は,陥没などの重大な損傷を生じることがある.

2) PC 鋼材に沿ったひび割れがある場合は,詳細な調査が必要となる.

3) ポータルラーメン橋は,耐震性の向上や維持管理の効率化を図ることができる.

4) ひび割れに対する判定基準は RC 橋の方が PC 橋よりも厳しい.

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正解:4)

PC 橋はプレストレス鋼材や緊張力の維持が重要なため,ひび割れの影響が大きく、一般に PC 橋の方が許容ひび割れ幅などの判定基準は厳しい(厳格に管理される)です。したがって「RC の方が厳しい」とする記述は誤りです。

(44)下の写真に示す道路橋 RC 床版の下面に生じた損傷に関する次の記述のうち,もっとも適当なものはどれか.

1) 床版厚不足による曲げ破壊

2) 鉄筋の腐食,膨張による剥離

3) 施工継目部の角欠けの進行による剥離

4) 輪荷重の繰返しによる疲労破壊

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正解:2)

写真を見ると鉄筋が露出しているのが確認できる.鉄筋が腐食により膨張し,かぶりコンクリートが剥離したものと考えられる.

(45)下に示す鋼鉄道橋の写真から読み取れる事項として不適当なものはどれか.

1) 上路プレートガーダーと呼ばれる形式である.

2) リベット構造である.

3) 主桁上フランジ上面は,ほぼ塗膜が消失している.

4) 橋上にレールジョイントがある.

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正解:1)

レール走行面が主桁上フランジより下側にあり,下路プレートガーダーである.