(31)腐食に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.
1) 直射日光が当たる箇所と当たらない箇所では,塗膜の劣化状況が異なる.
2) 付着した塩分は腐食反応により消費されることはないため,腐食が継続される.
3) ステンレス鋼では局部腐食は発生しない.
4) 局部腐食はアノード位置が固定されるため,その速度は全面腐食に比べて著しく速い.
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正解:3)
ステンレス鋼でも塩素イオンなどによるピット(点食)や隙間腐食などの局部腐食は発生する。従って「発生しない」は誤りです。その他の選択肢は妥当です(1:日光で塗膜劣化が異なる、2:塩分は消費されず腐食を持続、4:局部腐食は小さなアノードで電流密度が高く進行が速い)。
(32)塗替塗装時の素地調整に関する次の記述のうち,適当なものはどれか.
1) 素地調整の目的は,鋼材表面さびや付着している有害物質を除去するとともに,層間付着性をよくすることである.
2) 素地調整程度は 1 種から 4 種の 4 段階に区分されており,1 種は手工具を用いた簡便な方法,4 種はブラスト法である.
3) 鋼鉄道橋ではブラストを行うことが基本である一方,鋼道路橋では健全な活膜を残して塗替えることが基本である.
4) 塗膜の品質が十分であれば,素地調整の品質が塗膜の耐久性に及ぼす影響は小さい.
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正解:1)
- 適当
素地調整の目的はまさに「さびや付着物(旧塗膜の劣化物・塩分・油分など)の除去」と「新旧塗膜の層間付着性の確保」です。正しい記述。 - 誤り
素地調整の区分(1種~4種)はJIS規格や土木学会規準に基づき、
- 1種:全面ブラスト
- 2種:部分ブラストまたは動力工具+全面的に除錆
- 3種:動力工具などによる部分除錆
- 4種:手工具・ワイヤブラシ等による簡易除錆
なので、記述は逆になっています。
- 誤り
- 鋼鉄道橋:全面ブラストによる塗替えが原則。
- 鋼道路橋:旧塗膜が健全なら活膜を活かした塗替えを行うのが基本。
記述は「鉄道橋=ブラスト」「道路橋=活膜残し」で一見正しそうですが、道路橋でも劣化が激しい場合は全面ブラストも行われるため、「基本である」と断定するのは誤りとされます。
- 誤り
素地調整の品質は塗膜の耐久性に大きく影響します。塗膜性能が高くても素地調整が不十分だと密着不良や早期剥離が発生します。
(33)疲労に関する a)~c)の記述のうち,適当なものはいくつか.
a) 応力繰返し数と応力範囲の関係が疲労設計曲線を上回れば必ず疲労き裂が発生する.
b) 一般に疲労き裂の進展速度はき裂寸法が増すに従い加速し,途中で停止することはない.
c) 限界き裂寸法とはき裂の進展が停止する限界値である.
1) なし
2) 1 つ
3) 2 つ
4) 3 つ
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正解:1)
a) 応力繰返し数と応力範囲の関係が疲労設計曲線を上回れば必ず疲労き裂が発生する.
• 疲労設計曲線(S-N 曲線)は「安全側に見込んだ基準」であり,必ずしもき裂が発生するわけではありません。
• 「発生する可能性が高い」と言うのが正確。
→ 不適当
⸻
b) 一般に疲労き裂の進展速度はき裂寸法が増すに従い加速し,途中で停止することはない.
• き裂発生初期は,き裂の進展速度は小さいが,き裂が大きくなるに従い,一般的に進展速度が非常に大きくなる。
• ただし,き裂によっては,き裂の進展に伴い,作用応力の低下や残留応力の解放等の影響により,き裂進展速度が小さくなり,最終的に進展が止まる場合もある.
→ 不適当
⸻
c) 限界き裂寸法とはき裂の進展が停止する限界値である.
• 限界き裂寸法 = 構造物が破壊に至る臨界寸法(破壊靭性で決まる)。
• 「進展が停止する寸法」ではなく「進展すると破壊する寸法」。
→ 不適当
(34)溶接構造物の疲労耐久性に影響する因子として,不適当なものはどれか.
1) 活荷重の増大
2) 風による部材の振動の発生
3) 溶接品質
4) 引張強さの低い鋼材の使用
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正解:4)
1) 活荷重の増大
- 荷重が増えれば応力範囲が大きくなり,疲労耐久性は低下する。
→ 影響する(適当)
2) 風による部材の振動の発生
- 繰返し荷重・振動は疲労の主要因。
→ 影響する(適当)
3) 溶接品質
- 欠陥・止端形状などは疲労寿命に直結。
→ 影響する(適当)
4) 引張強さの低い鋼材の使用
- 鋼材の疲労強度は「母材の引張強さ」に依存せず,溶接部の応力集中や欠陥で決まる。
- 一般に高強度鋼を使っても溶接継手の疲労強度はあまり向上しない。
→ 疲労耐久性に直接の影響は小さい → 不適当
(35)下の図に示す溶接継手(止端非仕上げとする)を疲労強度等級の高い順に並べた場合に,適当なものはどれか.

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正解:4)
各継手の強度等級と 200 万回基本疲労強度Δσfは,以下のとおりである.
継手A 強度等級G,Δσf =50N/mm2
継手 B 強度等級 E,Δσf =80N/mm2
継手 C 強度等級 H‘,Δσf =32N/mm2