土木鋼構造診断士・補 過去問2023年択一問題(3)

(11)溶接法の特徴に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) マグ溶接:溶着効率は高いが,風の影響を受けやすい.

2) セルフシールド溶接:風の影響を受けにくいが,機械的性質は劣る.

3) サブマージアーク溶接:複雑な形状への適用は容易であり,作業効率に優れる.

4) 被覆アーク溶接:全姿勢での溶接が可能である.

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正解:3)

1) マグ溶接

  • ガスシールド方式なので、確かに 風の影響を受けやすい。
  • 溶着効率も高い。
    ➡️ 正しい。

2) セルフシールド溶接

  • シールドガスを使わないので 風の影響を受けにくい。
  • ただし、一般に機械的性質はやや劣る。
    ➡️ 正しい。

3) サブマージアーク溶接

  • フラックスでアークを覆うため高能率・高品質。
  • ただし、自動溶接で直線や大径円周など単純形状に適するが、複雑な形状には不向き。
    ➡️ 「複雑な形状への適用は容易」という記述は誤り。

4) 被覆アーク溶接

  • 全姿勢で施工可能(上向き・立向きも可能)。
    ➡️ 正しい。

(12)溶接の熱影響部に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) 熱影響部の大きさに関係の深い溶接入熱は,アーク電圧,溶接電流,溶接速度に比例して大きくなる.

2) 熱影響部は最高硬さが上昇するため,引張強さは大きくなり,絞りや伸びは低下する傾向にある.

3) 多層溶接の場合, l パス溶接に比べて熱影響部の最高硬さが低くなる傾向がある.

4) 熱影響部の最高硬さは,母材の炭素当量 Ceq が大きいほど上昇する.

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正解:1)

(13)次のア)~エ)の溶接欠陥と A~D に示す欠陥の説明のうち,適当な組合せはどれか.

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正解:3)

A:アンダカット

B:オーバラップ

C:溶け込み不良

D:気孔(ブローホール)

(14)高力ボルトに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) 現在の JIS では,摩擦接合用高力六角ボルトとして F10T と F8T が規定されている.

2) トルシア形高力ボルトは,支圧接合用として用いられる.

3) 耐候性鋼橋の高力ボルト継手には,耐候性高力ボルトを使用する.

4) F11T や F13T でみられる遅れ破壊は,水素脆化によって引き起こされる.

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正解:2)

  • 1) 正しい。JIS では摩擦接合用高力六角ボルトとして F8T, F10T が規定されている。
  • 2) 誤り。トルシア形高力ボルトは摩擦接合用として用いられるものであり、支圧接合専用ではない。
  • 3) 正しい。耐候性鋼橋には、さびに強い 耐候性高力ボルト が使われる。
  • 4) 正しい。高強度の F11T, F13T などでは 水素脆化による遅れ破壊が問題になる。

(15)リベット接合に関する次の記述のうち,適当なものはどれか.

1) 現場継手では,平成 10 年頃までリベット接合が主流であった.

2) リベット構造の桁では,疲労き裂が生じない.

3) リベット接合は,軸部のせん断抵抗と接合材の支圧力により応力を伝達する.

4) リベット継手の部材間には防錆の目的で有機ジンクリッチペイントが塗布されている.

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正解:3)

  • 3)正しい。 リベット接合は、リベット軸部でのせん断抵抗と、リベット軸と穴の接触による支圧で力を伝達する。

他は不適当

  • 1)誤り。 リベットはもっと早い時期(20世紀中頃)から段階的に高力ボルトや溶接に置き換わり、1998年(平成10年)まで「主流」であったとは言えない。
  • 2)誤り。 リベット構造でもリベット孔まわりや継手部に疲労き裂は生じる。
  • 4)誤り。 継手部の防錆処理は用途・時代で異なるが、接合面に有機ジンクリッチだけを必ず塗布する、という一般則はない(むしろ接触腐食や塗膜のはく離を避ける配慮が必要)。