- (41)鋼道路橋の上下部接続部および付属物の損傷に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
1) 支承の機能が低下する主な原因は、床版や橋台パラペットから剥落したコンクリート片による支承の詰まりである。
2) 鋼製高欄の損傷には、車両の衝突による変形や破損、腐食がある。
3) 照明柱や標識柱基部の損傷には、 車両走行や風などによる振動に起因する疲労き裂がある。
4) 伸縮装置の疲労損傷の主な原因は,輪荷重による繰返し荷重である。
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正解:1)
理由:支承(ベアリング)の機能低下は確かにゴミや剥落したコンクリート片による詰まりで起こることがあるが,主な原因は腐食・摩耗・潤滑不良や支持面の変形・固着などの材料・機構的劣化である。設問のように「主な原因が剥落片の詰まりである」と断定するのは誤り。
他の選択肢は妥当:
- 2 は車両衝突や腐食で鋼製高欄は損傷する(○)。
- 3 は風・車両振動などによる繰返し応力で基部に疲労き裂が生じうる(○)。
- 4 は伸縮装置が繰返しの輪荷重や通行荷重で疲労・損傷を受けやすい、という記述は妥当(○)。
- (42)鋼道路橋の疲労き裂に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
1) 主桁下フランジの突合せ溶接部にき裂が発生した場合、落橋の恐れがあるが、発生例は少ない。
2) 鋼床版の疲労き裂は、縦リブが開断面の場合より閉断面の場合のほうが発生例は少ない。
3) ソールプレート溶接部の疲労き裂は、支承機能の低下に起因して発生する例がある。
4) 補修や補強を行った箇所では、 補強部材の影響によって近接部位に新たにき裂が発生する場合がある。
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正解:2)
鋼床版の疲労き裂は、縦リブが開断面の場合より閉断面の場合のほうが発生例は多い。
- (43)コンクリート道路橋の点検時の着目箇所に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
1) 桁支間中央部:桁下縁側にひび割れがみられることがある。
2) 桁中間支点部:応力は小さくひび割れなどの損傷を生じにくい。
3) 打継部:ひび割れが生じるなど、連続性や一体性が損なわれていることがある。
4) ゲルバ一部:主桁断面が急激に変化するため、応力集中によりひび割れが生じやすい。
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正解:2)
- 桁支間中央部
- 桁の支間中央は単純梁の場合、曲げ応力が最大になる場所です。桁下縁は引張応力を受けるため、ひび割れが発生しやすい。
→ 適当
- 桁中間支点部
- 桁中間支点部は、負の曲げモーメントが最大となるため、主桁上フランジや主版の鉛直方向にひび割れが発生しやすい。
→ 不適当
- 打継部
- 打継部はコンクリートを分けて施工した部分で、施工の不連続や収縮などによりひび割れが入りやすい。
→ 適当
- ゲルバ一部
- ゲルバ桁(Gerber girder)は、支点で一部断面が切り欠かれており、断面変化で応力が集中することがある。応力集中によるひび割れが生じやすいのは正しい。
→ 適当
- (44)コンクリート道路橋に生じる損傷に関する a)~d) の記述のうち、適当なものはいくつか。
a) 舗装の補修が繰返し行われている RC 床版では床版上面に士砂化がみられることがある。
b) PCT 桁橋の間詰め床版部では陥没などの損傷が生じることがある。
c) コンクリート内部に雨水が浸透するとひび割れから遊離石灰が滲出することがある。
d) 内部鉄筋の腐食による膨張に伴いコンクリートの浮き、はく離が生じることがある。
1) 1 つ
2) 2 つ
3) 3 つ
4) 4 つ
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正解:4)
a) 舗装の補修が繰返し行われている RC 床版では床版上面に土砂化がみられることがある。
- RC床版の上面は舗装に覆われていますが、補修の繰り返しや摩耗によりコンクリートの骨材が露出し、表面が砂状になる「士砂化(しさか)」が生じることがあります。
→ 適当
b) PCT桁橋の間詰め床版部では陥没などの損傷が生じることがある。
- PCT桁橋(プレテンション桁橋)の間詰め床版は桁と桁の間に充填されるコンクリート部分で、施工不良や収縮・荷重の影響で陥没やひび割れが発生することがあります。
→ 適当
c) コンクリート内部に雨水が浸透するとひび割れから遊離石灰が滲出することがある。
- コンクリートのアルカリ分(石灰分)が水に溶けて表面に白い粉として現れる現象を「白華(エフロレッセンス)」と呼びます。ひび割れを通して滲出することもあります。
→ 適当
d) 内部鉄筋の腐食による膨張に伴いコンクリートの浮き、はく離が生じることがある。
- 鉄筋が腐食すると体積膨張してコンクリートを押し上げ、浮きやはく離を引き起こします。
→ 適当
- (45)鉄道橋の維持管理に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1) 維持管理に対する現在の技術基準は旧国鉄系と民鉄系で異なる。
2) 我が国の鋼鉄道橋の平均経年は 40 年程度である。
3) 明治時代に製作された鉄道橋の大半は溶接構造である。
4) 明治時代に製作された鉄道橋の中には現在も供用中のものがある。
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正解:4)
1) 維持管理に対する現在の技術基準は旧国鉄系と民鉄系で異なる。
- 現在は日本の鉄道橋は国土交通省や鉄道事業者の共通基準に基づく維持管理が行われており、旧国鉄系と民鉄系で大きく異なることはありません。
→ 不適当
2) 我が国の鋼鉄道橋の平均経年は 40 年程度である。
- 実際には鉄道橋の平均使用年数はもっと長く、特に鋼橋は耐用年数が 50〜70 年程度です。
→ 不適当
3) 明治時代に製作された鉄道橋の大半は溶接構造である。
- 明治期の鉄道橋はリベット接合が主流で、溶接構造はほとんどありません。
→ 不適当
4) 明治時代に製作された鉄道橋の中には現在も供用中のものがある。
- 実際に明治期製の橋の一部は保存や更新を行いながら現役で使用されています。
→ 適当