土木鋼構造診断士・補 過去問2023年択一問題(2)

(6)鋼材の製法および性質に関する次の記述のうち,適当なものはどれか.

1) 現在の鋼材の製造法には,大きく分けて高炉法と電炉法があり,高品質な鋼材は主として電炉法により製造されている.

2) 低温用鋼や耐ラメラテア鋼製造の要請や連続鋳造法の導入によって,鋼材における硫黄含有量が急激に減少した.

3) ステンレス鋼は,初期さびの生成抑制や緻密なさび層の生成促進を目的として開発され,さび安定化補助処理が併用される場合もある.

4) TMCP とは,結晶粒の粗粒化により良好な溶接性を有する鋼板が製造可能な技術である.

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正解:2)

1) 現在の鋼材の製造法には,大きく分けて高炉法と電炉法があり,高品質な鋼材は主として高炉法により製造されている.

2) 低温用鋼や耐ラメラテア鋼製造の要請や連続鋳造法の導入によって,鋼材における硫黄含有量が急激に減少した.

3) 耐候性鋼耐候性鋼では,その表面に緻密なさび層が形成されるまでの期間は普通鋼材と同様にさび汁が生じるため,初期さびの生成抑制や緻密なさび層の生成促進を目的として開発されたさび安定化補助処理が併用される場合もある.

4) TMCP とは,熱加工制御(Thermo-Mechanical Control Process) の略であり,鋼板製造時におけるスラブ加熱から圧延.冷却の各工程を一貫して冶金的に制御する製造技術で,良好な溶接性を有する鋼板が製造可能な技術である.

(7)下図に示す単純はりの支間中央断面(A 断面)における下縁応力として,適当なものはどれか。

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正解:4)

(8)外面塗装に関する次の記述のうち,もっとも適当なものはどれか.

1) ふっ素樹脂塗装は,白亜化しやすく,耐候性が低い.

2) エポキシ樹脂塗装は,速乾性は高いが,耐水性・付着性が低い.

3) 厚膜型無機ジンクリッチペイントは,塗膜厚を 75μm 程度とするのが一般的である.

4) 有機ジンクリッチペイントは,無機ジンクリッチペイントと比べ防錆性が高い.

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正解:3)

  1. ふっ素樹脂塗装は白亜化しやすく、耐候性が低い。
    → 誤り。ふっ素樹脂塗装は 白亜化しにくく、非常に耐候性が高い のが特徴です。
  2. エポキシ樹脂塗装は速乾性は高いが、耐水性・付着性が低い。
    → 誤り。エポキシはむしろ 耐水性・付着性が優れるが、紫外線に弱い(白亜化しやすい) のが特徴です。
  3. 厚膜型無機ジンクリッチペイントは、塗膜厚を 75μm 程度とするのが一般的である。
    → 正しい。厚膜型無機ジンクは一般に 60〜80μm程度 が標準で、75μmは妥当な値です。
  4. 有機ジンクリッチペイントは、無機ジンクリッチペイントと比べ防錆性が高い。
    → 誤り。防錆性は 無機ジンクリッチの方が高い(犠牲防食作用が強い)。

(9)金属溶射,めっきに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.

1) 溶融亜鉛めっき層に傷がつくと,亜鉛が溶出し,犠牲防食作用により鋼材の腐食が抑制される.

2) 溶融亜鉛めっきは,溶融亜鉛-アルミニウム合金めっきよりも耐食性に優れる.

3) 金属溶射,溶融亜鉛めっきのいずれも,重防食塗装の防食下地として用いることができる.

4) 金属溶射は,溶融亜鉛めっきと比較して熱影響が少なく,熱によるひずみが生じにくい.

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正解:2)

  1. 正しい。亜鉛は犠牲陽極として働き、傷部でも亜鉛が先に腐食して鋼材を保護する。
  2. 不適当。一般に 亜鉛-アルミニウム合金めっき(例:Galvalume、Galfan 等)は純亜鉛めっきより耐食性が優れる。したがって2は誤り。
  3. 正しい。金属溶射も溶融亜鉛めっきも、重防食塗装の下地(防食層)として利用できる。
  4. 正しい。金属溶射は基材への総熱入力が比較的小さく、溶融めっき(高温浴への浸漬)に比べて熱変形・ひずみが生じにくい。

(10)下図に示すヒンジを有するはりの A 点の曲げモーメントとして,適当なものはどれか.

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正解:1)