(21)下図に示すように,全ての軸重が同じである車両が支間 20.0m の単純桁上をゆっくりと通過した場合の支点 b の支点反力の時刻歴波形として,もっとも適当なものはどれか.

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正解:3)
支点 B の反力の特徴は,輪重が近接すると大きくなり,輪重の通過直後に急激に減少することである.そのことに着目して反力の時刻歴波形を眺めるとよい.
(22)ひずみゲージを用いたひずみ測定に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか.
1) 応力勾配を求めるため,応力集中ゲージを用いた.
2) 主応力とその方向を把握するため,3 軸ロゼットゲージを使用した.
3) 板の表裏でひずみを測定し,その平均値より面外曲げ応力を求めた.
4) 応力頻度の評価のために,動ひずみ測定を行った.
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正解:3)
板の表裏でのひずみ測定において,表裏の平均ひずみは膜ひずみに相当し,面外曲げ(曲げひずみ)は表裏の差(=半分に割る等の処理)から求めるのが正しい。したがって「平均値より面外曲げ応力を求めた」は不適当。
他は妥当:2はロゼットで主応力算出、4は動的な応力頻度評価に動ひずみ計が使われる、1は応力勾配評価に局所ゲージを用いる手法があるため一般に妥当。
(23)フェーズドアレイ探傷に関する次の記述のうち,適当なものはどれか.
1) フェーズドアレイ探傷は放射線透過試験の一種である.
2) フェーズドアレイ探傷では複数の素子から送信するタイミングを制御する.
3) 超音波を 1 点に集束させることをスキャンという.
4) フェーズドアレイ探傷は鋼材面を目視で確認することで欠陥を検出する.
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正解:2)
- 「フェーズドアレイ探傷は放射線透過試験の一種である」
→ ✖ 不適当
フェーズドアレイ探傷は超音波探傷(UT: Ultrasonic Testing)の一種であり、放射線(X線やγ線)を使う試験ではありません。 - 「フェーズドアレイ探傷では複数の素子から送信するタイミングを制御する」
→ 〇 適当
フェーズドアレイ探傷では、複数の超音波素子(ピエゾ素子)を持つプローブで、各素子の送信タイミングを電子的に制御することで、ビームの方向や焦点を自由に変えられます。これがフェーズドアレイの特徴です。 - 「超音波を1点に集束させることをスキャンという」
→ ✖ 不適当
超音波を1点に集束させるのはフォーカス(集束)です。
スキャンは、試験対象を走査して広い範囲を探傷することを指します。 - 「フェーズドアレイ探傷は鋼材面を目視で確認することで欠陥を検出する」
→ ✖ 不適当
これは目視検査(VT: Visual Testing)の説明であり、超音波探傷では内部欠陥を音波で検出します。
(24)鋼構造物の腐食・防食に対する調査方法に関する次の記述のうち,適当なものはどれか.
1) さびに覆われた鋼板の板厚を超音波厚さ計で測定する場合には,接触媒質を多く塗布することでさび厚の影響を取り除くことができる.
2) ワッペン式暴露試験は,試験片を対象鋼構造物に設置・暴露して,経年による腐食減耗量を試験片中央部の板厚変化から求める試験である.
3) ガーゼにより拭き取り塩素イオン検知管を用いて測定する方法は,無機ジンクリッチペイント塗布面やさび面での塩分測定に適している.
4) 碁盤目・クロスカットテープ付着試験は,現場で塗膜の付着性を評価する方法として利用される.
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正解:4)
- 誤り:超音波厚さ計はさびやスケールがあると音波が散乱・減衰して測定誤差が大きくなります。接触媒質(カプラント)を多く塗っても“さび厚の影響”は除去できません。通常は測定点を研掃して金属光沢を出してから測ります。
- 誤り:「ワッペン式暴露試験」は対象部材に小片(クーポン)を貼り付けて所定期間暴露し、質量減少(単位面積あたりの重量減)から腐食減耗量を求めるのが基本です。記述のように「中央部の板厚変化のみ」で求める試験ではありません。
- 誤り:ガーゼ拭き取り+塩素イオン検知管法は主に平滑な塗装面での表面塩分の簡易測定に適します。無機ジンクリッチ塗膜やさび面のように粗く多孔質な面では回収率が不安定になりやすく、ブレスル法(パッチ法)などの方が適しています。
- 正しい:碁盤目・クロスカットテープ付着試験は現場でも実施できる代表的な塗膜付着性評価法(JIS/ISO)で、現場調査で広く用いられます。
(25)非破壊試験に関する次の記述のうち,適当なものはどれか.
1) 極間法の磁粉探傷試験は,表面き裂の方向に平行する磁束を与えることが重要である.
2) 浸透探傷試験は,表面き裂の幅を精度良く把握することができる.
3) 渦流探傷試験は,表面き裂に対して塗膜を除去することなく探傷することができる.
4) 超音波探傷試験は,欠陥からの反射エコー高さから欠陥位置を推定することができる.
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正解:3)
1) 極間法の磁粉探傷試験は,表面き裂の方向に平行する磁束を与えることが重要である.
→ 誤り。磁粉探傷では、き裂に直交するように磁束を与えることで漏洩磁束が生じ、欠陥が検出しやすくなります。平行では見つかりにくいです。
2) 浸透探傷試験は,表面き裂の幅を精度良く把握することができる.
→ 誤り。浸透探傷試験は、表面に開口しているき裂や欠陥の存在や位置は分かりますが、幅や深さの定量的把握はできません。
3) 渦流探傷試験は,表面き裂に対して塗膜を除去することなく探傷することができる.
→ 正しい。渦流探傷は電磁誘導を利用するため、通常の塗膜や薄い被覆を除去せずに探傷できます(ただし厚い被覆や非導電性材料によっては影響を受けます)。
4) 超音波探傷試験は,欠陥からの反射エコー高さから欠陥位置を推定することができる.
→ 誤り。欠陥位置は超音波の伝播時間(エコーの出現位置)から求めます。エコー高さは主に欠陥の大きさや形状、反射率の指標です。